雨漏りの原因って?
雨漏りはどこから発生しているのかわかりにくいため、原因特定が難しいです。
雨漏りは「屋根から発生している」というイメージがありますが、必ずしも屋根からだけとは限りません。
雨漏りの発生箇所として主に外壁、屋根、ベランダの3箇所がございます。
それぞれの発生箇所ごとに、雨漏りの原因をご説明致します。
屋根からの雨漏り
屋根材の経年劣化、屋根のひび割れ、瓦屋根のズレ、板金の浮きが主な原因です。
屋根材の寿命は屋根材ごとに異なります。
古くなったコロニアル屋根の場合、水を吸収し湿潤状態になり最終的に水を通すようになります。
災害の影響などで屋根にひびが生じるケースがあります。その部分から雨水が侵入します。
地震などで大きな負荷が建物にかかってしまった場合、屋根材がずれてしまったり浮いてしまうケースがあり、水が侵入します。
強風や劣化の影響で屋根の板金部分が浮いてしまい、浮いた部分から雨水が侵入します。
外壁からの雨漏り
外壁のひび割れ、コーキングの劣化が主な原因となっております。
外壁の劣化が進むと外壁にひびが発生し、そこから雨漏りが発生する場合があります。
幅1ミリ程度のヘアクラックと呼ばれる髪の毛のように細かいひび割れや小さい穴であれば、雨水が侵入する可能性は低いです。しかし、幅3ミリ以上のひびになると外壁の向こう側まで貫通している場合があります。
コーキングの劣化が進むと割れや剥がれが発生し、そこから雨水が侵入してきます。
コーキングの耐用年数は10年程度といわれており、外壁材より短いので注意が必要です。
ベランダからの雨漏り
防水層の劣化、排水口の劣化・詰まりが主な原因となっています。
雨水にさらされたり、歩いたり、ものをおいたりしているとベランダの床に張られている防水シートや防水塗装が経年劣化してきます。
その結果、ひび割れや剥がれ、破れという現象が起き雨漏りが発生します。
排水口は水の通り道で、常に雨水や太陽にさらされているので負荷が大きく劣化しやすい箇所です。
歳月を経て排水口が劣化すると、周りの防水層が剥がれて隙間が生じます。
その隙間から雨水が入り込み、建物内部に浸透していきます。
また、排水口にゴミや枯れ葉が貯まっていると排水口が塞がれ水が溢れだしてしまい、ベランダの水嵩が増してしまうことで施工したベランダ防水の防水層を超えてしまい、階下に水が漏れてしまいます。
対策・応急処置は?
まずは応急処置を
雨漏りは放っておくと二次災害が発生し、住宅の寿命を縮めてしまう可能性があります。
また、雨漏りが進行すると木部や金属部まで腐食が進み、カビやシロアリが発生する危険性もあります。
そういった事態を未然に防ぐためにも業者に依頼するのが一番ですが、まずは自分ができる範囲で応急処置を施すことでその後の住まいの状況が変わってきます。
雨漏りが発生してしまったら雨漏りしている箇所の下に新聞紙やタオルを敷き、その上にバケツを置いて水で床が濡れるのを防ぎましょう。水が溜まってくると、水しぶきが周囲に跳ねてしまうのでバケツの周りにもタオルなどを敷いておくのがいいでしょう。
屋根の雨漏りの原因を特定するのは業者でも難しいため、応急処置として広範囲に被せるのが良いでしょう。
その際に雨風に飛ばされないようにテープや土嚢袋などのおもりを置き、固定します。
ベランダの防水シートの破れや、屋根の雨水の流入部分の応急処置として使います。
まずは雨漏りしている箇所を雑巾などできれいにしましょう。
埃や砂、油などがあるとテープに粘着性がなくなり、すぐ剥がれてしまいます。
綺麗にしたあと、雨水の流れる方向の下流から上流に向かってテープに空気が入らないように貼ります。
防水の種類
1.シーリング(コーキング)
2.ウレタン・FRPなどの塗膜防水
3.塩化ビニール系・合成ゴム系シートなどを用いるシート防水
などが挙げられますが、これら防水も新築などでの新規施工と改修工事での施工には工程に大きな隔たりがあります。
それらは下地の状態により向き不向き、適材適所が存在するのです。
シーリング(コーキング)
シーリングとは、歯磨き粉のような粘度の防水材を外壁の継ぎ目、ひび割れ部分などに充填するものです。
そして下地の素材、収縮の度合いによって使う材料、性質が変わってきます。
1.シリコン
ガラス・水槽に用いられ、耐候性に優れる反面、周辺への汚染がある
2.変性シリコン
一般に外壁の継ぎ目などに用いられ、耐候性がある
3.ウレタン
防水下地など、紫外線の影響を受けない部位へ用いられる、耐候性は無い
4.ポリサルファイド
ウレタン系ではあるが、露出しているタイル目地やコンクリート目地に用いられてきた耐候性がある
下地の収縮によりシーリング材自体に掛かる負荷について、引っ張られる力を緩和させる度合いを表す表記があり、それを「モジュラス」と言います。
1.高モジュラス=引っ張り応力が強い
2.中モジュラス=引っ張り応力は普通
3.低モジュラス=引っ張り応力が弱い
この引っ張り応力とは下地の収縮によって引っ張られる力に対し、戻ろうとする力の強さを表します。
なので、収縮などの動きが無い「ガラス」などは高モジュラスを用い「窯業サイディング」など乾燥収縮が大きな素材においては低モジュラスを用いるのです。
塗膜防水
ウレタン樹脂の液体を防水する面に流し、均一な防水の膜をつくるものです。
コンクリート下地など、下地のひび割れを防水に伝えたくないような場合、柔軟性を必要とする場合に用いられます。
不飽和ポリエステル樹脂の液体をガラス繊維に含浸させるように塗布し、均一な防水の膜をつくるものです。
ウレタン防水に比べて硬くなるのが特徴であり、耐摩耗性に優れることから住宅のベランダなどに数多く採用されている防水です。
シート防水
塩化ビニールのシートを用いた防水であり、シート同士を溶着させ重ね合わせシートを一体化させる方法をとるため、シート状の防水のなかでも素材特性だけでなく耐候性を期待できる防水材です。
比較的低コストの防水として採用されるもので、黒い合成ゴムのシートを用いた防水。
シート同士は両面テープや接着剤を用いて一体化させる方法をとりますが、紫外線に影響されシートが縮んでしまうと剥がれやすくなってしまいます。
そのため、5年ごとにトップコート塗布することで紫外線から保護する必要があります。
施工方法
それぞれの防水材・工法は下地の素材、状態により向き不向きが存在するため、一概にどの防水・工法が優れているというようには分けることができません。ですが、それぞれの特徴を踏まえ最適な防水工事を提案することも、プロとしての責任なのです。
下地に密着させることで一体化させる方法であり、下地が乾燥している健全な状態であればこの工法を採用することができます。
通気性をもつシートを貼りその上に塗膜防水を塗布する工法で、シートの下で蒸気となった水分を脱気筒を用いて逃がすことのできる、改修工事で採用される工法です。
鋼板やビスなどを用いて、面ではなく多くの点で機械的に固定する方法であり改修工事で多く採用される工法です。